おせっかい先生の日記

ある子供の勇気

先日、当クリニックに矯正に通っている子供のお母さんから聞いた話です。

子供にとって矯正はすごく抵抗があるものです。
見た目が悪い、その見た目でいじめられる。
だから、学校に行くときに着けていくことが嫌。
でも、矯正は着けて行くほうが良いことも知っている。

どうしたらいいか、学校の先生に相談したら、「みんなの前で話してみたら?」と言われた。

A子ちゃんのお母さんは、こう言いました。
「うちの子はとても恥ずかしがりやで、『クラスのみんなの前で話すなんて…』と、話をすることにも抵抗があったようです」

でも、A子ちゃんは勇気を出して、クラスのみんなの前で話しました。

歯の矯正をしていること。
どうして矯正をしないといけないのか。
矯正を始めたら、学校に来ている時間も着けている必要があること。
学校の先生と一緒に、「歯並びを矯正しないと虫歯になりやすくなる。虫歯がいっぱいだと、大人になったときにこまるから、子どものうちに歯並びを治したほうが良くて、だから、器具を着けて矯正してるの。」と、一生懸命話したそうです。

話をしたら、クラスの殆どの子がわかってくれたので、安心して矯正器具を着けて学校に通うことができるようになったそうです。

「それは良かったね」で、この話は終わりません。

歯の矯正をしている子は、実はクラスに何人もいたのだそうです。
矯正をしていたけれど、からかわれたりいじめられたりすることを気にして、学校に行くときは矯正を外していた。
けれど、A子ちゃんの話を聞いてクラスメートの子ども達も、安心して矯正器具を着けて通学するようになったのだとか。

更に、A子ちゃんのクラスの子どもだけでなく、同じ学年の子どもたちも矯正器具をつけて学校に来るようになった、というお話でした。

私は、この話を聞いて、とても感動しました。

口下手で、あまり話をしない子が勇気を出して矯正について話をしたことで、他の子どもたちにも理解が広がりました。
そのうえ、実は矯正していた子ども達にも、「学校に着けて行っても大丈夫」と、思える状況を作り出すまでになったのです。

一番最初に言うということは、本当に勇気が要ります。

子どもは、思ったことをすぐ口に出してしまうことが、とても多いのです。
「口の中に銀色の線みたいなのがいっぱいあって、気持ち悪~い!」とか、平気で言います。
でも、言われた子は傷つきます。
「からかわれるなら、矯正はつけないで学校に行こう」と思う子だって少なくないでしょう。
歯科医の立場からすれば、矯正は出来るだけ長い時間つけておいて欲しいのです。装着時間が短いと、矯正の効果が出にくいのです。

これは、歯の矯正器具装着に関してのことだけでなく、もっと大きな意味で大事なことだとも感じました。

大げさに聞こえるかもしれませんが、
もしかしたら世界の戦争だって、一人の勇気がきっかけで終わらせることが出来るのかもしれない。
そんなことを考えました。
日本は他の国と戦争をしていない状態が72年間続いています。
でも、世界のあちこちで、内戦が起きたり、民族同士で争ったりしています。
そういう大人の争いに巻き込まれてけがをしたり命を奪われたりするのは、大人だけではありませんよね。
世界中で、多くの子ども達が傷つき犠牲になっているのです。
それを終わりにするのは、きっと武力攻撃なんかではない、全く別のものです。

A子ちゃんが、歯の矯正について一生懸命話をした。
クラスの子たちは、矯正が必要な理由について理解しただけでなく、矯正を頑張るA子ちゃんを思いやる気持ちを持った子も多くいたのではないでしょうか?
そういう空気が生まれたからこそ、他の子どもたちも「矯正を着けて学校に行こう」という気持ちになったのかもしれません。

A子ちゃんに拍手を送ります。

A子ちゃんと同じように、どこかの何かの場面で、勇気を出して一番に話をした、私が知らない子どもたちにも。

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