「総額○万円」に安心するのはまだ早い?矯正治療の隠れた費用とは
矯正治療を検討するとき、どうしても気になるのが「総額でいくらかかるのか」ということですよね。
ただ、実際にはホームページなどに掲載されている矯正治療の料金だけを見ていると、あとから「こんな費用もかかるの?」となってしまうケースがあります。
そこで今回は、矯正治療を始める前に知っておきたい「見落としがちな費用」についてお話しします。
矯正治療を始める前にも費用がかかる?
まず、初期段階の検査・診断料です。
歯科医院によっては、矯正相談そのものは無料でも、精密検査や診断には別途費用がかかります。
CT撮影やレントゲン、歯型の採取、治療計画の作成などを含めて、2~3万円程度かかる医院も珍しくありません。
特に一般的な矯正治療では、治療を開始する前に診断料が必要になるケースは多いでしょう。
これも、矯正治療の「裏コスト」の一つと言えるかもしれません。
さらに、治療シミュレーションにも費用がかかる場合があります。
例えば、マウスピース矯正で使用する治療シミュレーションを作成する場合、1~2万円程度の費用がかかる医院もあります。
当院では診断料はいただいていませんが、治療シミュレーションについては1,650円の費用をいただいています。
一般的には、治療シミュレーションの作成に2万~3万円程度かかることもあるため、当院ではできるだけ患者さんが治療を検討しやすい金額に設定しています。
なぜ無料ではなく、あえて1,650円いただいているのか。
それは、治療シミュレーションを作成するにも、歯科医師の時間と手間がかかるからです。
AIを使ってある程度自動的に治療計画を作成できるようになっていますが、最終的には歯科医師が内容を確認し、必要に応じて細かく修正します。
当院では、AIが作成した治療計画をそのまま使用するのではなく、歯の動きなどを確認しながら、0.01mm単位で調整しています。
つまり、シミュレーションには「データを出力するだけ」ではなく、歯科医師が時間をかけて治療計画を作り込むという工程があるわけです。
無料にしてしまえば患者さんにとっては嬉しいですが、その作業には当然コストがかかります。
そのため、医院によっては2~3万円程度の診断料やシミュレーション費用として設定しているところもあります。
矯正治療以外の費用にも注意
もう一つ見落としやすいのが、矯正治療そのものとは別に発生する治療費です。
例えば、治療前に抜歯が必要になった場合の抜歯費用や、虫歯が見つかった場合の治療費などです。
「矯正治療が100万円だから、100万円払えばすべて終わる」と思っていても、こうした費用が別途必要になる場合があります。
そのため、矯正治療を検討するときは、表示されている治療費だけではなく、「その料金に何が含まれているのか」を確認することが大切です。
治療計画が変わった場合の追加費用
マウスピース矯正では、治療途中で計画どおりに歯が動かず、アライナーを作り直すケースもあります。
例えば、歯の動きが計画とずれてしまったり、事故などで歯が抜けてしまったりするケースです。
また、患者さんがアライナーを指示どおりに使用していなかったために、予定どおり歯が動かなかったというケースもあります。
こうした場合、治療計画を作り直して、アライナーを再作成する必要があります。
医院によっては、こうした再作成に追加費用がかかる場合があります。
当院では、こうしたケースも含めて5年間は追加料金なしで対応しています。
ただし、治療中の管理料については別途必要です。
アライナーやリテーナーの破損・紛失にも注意
マウスピース矯正では、アライナーや治療後に使用するリテーナーを破損・紛失してしまうこともあります。
一度くらい紛失したからといって、すぐに治療ができなくなるわけではありません。複数枚のアライナーをお渡しするため、次のものに進めるケースもあります。
ただし、何枚も紛失してしまうと、予定していた治療計画どおりに進められなくなる可能性があります。
その場合、再作成の費用が発生する医院もあります。
「紛失や破損をした場合に追加料金がかかるのか」についても、治療開始前に確認しておくと安心です。
アタッチメントの追加にも費用がかかる?
マウスピース矯正では、歯に「アタッチメント」と呼ばれる小さな突起をつけて、歯を効率よく動かすことがあります。
治療途中で新たにアタッチメントを追加したり、位置を変更したりすることもあります。
これは必ずしも「治療計画から外れた特別な処置」というわけではありません。
例えば、最初は歯と歯が重なっていてアタッチメントをつけにくい場合、歯がある程度動いてスペースができてから追加することがあります。
つまり、最初から治療計画に組み込まれているケースもあるわけです。
ただし、このアタッチメントの追加費用を治療費に含めている医院と、その都度費用をいただく医院があります。
ここも、医院によって料金体系が大きく異なるポイントです。
「込み込み」の料金なら安心?
最近では、「治療費込み込み80万円」など、治療に必要な費用をまとめて提示する医院も増えています。
これは患者さんにとって非常にわかりやすく、安心感のある料金設定です。
一方で、「込み込み」と書いてあっても、どこまでが含まれているのかは医院によって違います。
例えば、「前歯の出っ張りを治したい」という希望で矯正を始めたとして、治療途中で「やっぱり口元をもっと引っ込めたい」と希望が変わった場合、その追加の治療まで料金に含まれているとは限りません。
「100万円払ったんだから、全部きれいにしてもらえるはず」と考えてしまうと、医院との認識にズレが生じる可能性があります。
これは、矯正治療の料金体系を考えるうえで非常に重要なポイントです。
「安い・高い」だけでは判断できない
矯正治療の費用を比較するとき、つい「A医院は80万円、B医院は100万円だから、A医院のほうが安い」と考えてしまいます。
しかし、本当に見るべきなのは、単純な金額だけではありません。
検査・診断料は含まれているのか。
アライナーの再作成は何回まで含まれているのか。
アタッチメントの追加費用はかかるのか。
破損や紛失の場合はどうなるのか。
治療後のリテーナー代は含まれているのか。
さらに、治療完了後の定期検診や管理料はどうなっているのか。
こうした内容まで確認して、初めて「総額」が見えてきます。
当院の場合、治療後の管理については、管理料を6回分お支払いいただいた後は追加料金なしで対応しています。治療完了後もしばらくは定期的に来院していただき、歯が後戻りしていないかなどを確認します。
もちろん、料金体系は歯科医院によってさまざまです。
だからこそ、矯正治療を選ぶときには「一番安いところ」を探すのではなく、「何が料金に含まれていて、何が別料金なのか」を確認することが大切です。
矯正治療は「一律○万円」と考えない
矯正治療は、数十万円から100万円を超えることもある大きな治療です。
そのため、「できるだけ安くしたい」と考えるのは当然です。
ただ、矯正治療は美容外科などとは少し違い、長期間にわたって歯を動かしていく治療です。
例えば美容外科であれば、鼻の治療に50万円、目の治療に50万円というように、治療する部位ごとに費用が発生することがあります。
一方、矯正治療では、ある程度の範囲の治療をまとめて行うため、「一度料金を払ったら、できる限り対応する」という料金体系になっている医院も多くあります。
そのため、一見すると「矯正治療で100万円」は高く感じるかもしれません。
しかし、2~3年という長い期間をかけて、歯の状態を確認しながら治療を進めることを考えると、単純に金額だけで高い・安いを判断することはできません。
大切なのは、金額の数字だけを見るのではなく、その金額で「どこまで治療してもらえるのか」「治療後までどのようにサポートしてもらえるのか」を見ることです。
矯正治療を始める前に、料金表だけではわからない「裏コスト」まで確認しておく。
それが、治療後に「思っていたより費用がかかった」と後悔しないためのポイントです。













