抜歯しない矯正はできる?「4本抜歯」と言われた方へ年齢別の判断基準|横浜市泉区の歯科医師が解説
この記事では、成人でも抜歯が数%・お子さんではほぼ抜歯をしない横浜市泉区の矯正歯科院長が、次の3点を解説します。
①なぜ抜かずに矯正できるのか(顎の拡大・IPR・下顎の位置)
②年齢によって「抜歯しない矯正」の可能性がどう変わるか
③抜歯しない矯正のデメリットと、セカンドオピニオン相談の流れ・費用
「抜歯が必要」と言われたら、まず知ってほしいこと
矯正の相談で「スペースがないので小臼歯を4本抜きましょう」と言われることがあります。健康な歯を4本も抜くと聞けば、迷うのは当然です。まずお伝えしたいのは、抜歯の要否は歯科医院ごとの診断方針で大きく変わるということです。
成人の矯正は「約8割が抜歯」と言われる中、当院は数%
院長の臨床経験では、成人の矯正治療は一般に約8割が抜歯を伴うと言われています。一方で、アートデンタル中田南クリニックでは成人でも抜歯に至るのは数%程度、お子さんの矯正ではほとんど抜歯をしていません。抜歯が避けられない場合でも、最小の本数にとどめることを基本方針にしています。
歯を並べるスペースは抜歯以外にもつくる方法があり、その選択肢をどこまで検討したかで結論が変わります。院長自身も20代のワイヤー矯正で永久歯を4本抜いた経験があり、できる限り歯を残す矯正を心がけています。
「抜歯しかない」は診断の結論であり、唯一の正解ではない
矯正の診断は「必要なスペース」と「確保できるスペース」を計算して行います。顎を広げる・歯を後ろに動かす・歯の側面をわずかに削るといった方法をどこまで計画に組み込むかは、医院の考え方や装置によって異なります。同じお口でも、A院では「4本抜歯」、B院では「1本抜歯」や「非抜歯」という診断になることは珍しくありません。
なぜ抜かずに矯正できるのか|スペースをつくる4つの考え方
歯がガタガタに重なる「叢生(そうせい)」や前歯が前に出る「出っ歯(上顎前突)」の多くは、歯の大きさに対して顎のスペースが足りないことが原因です。抜歯はスペースをつくる手段の一つにすぎず、当院が優先して検討するのは次の4つです。

①顎(歯列のアーチ)を広げる
上顎の骨の真ん中には「正中口蓋縫合(せいちゅうこうがいほうごう)」という継ぎ目があります。この継ぎ目が閉じる前の時期であれば、マウスピース型矯正装置で上顎をゆるやかに広げ、永久歯が並ぶスペースを確保しやすくなります。院長の臨床経験では、上顎は6〜10歳ごろに先に成長し、下顎は中高生で成長します。この成長の時期を利用できるかどうかが、抜歯を避けられるかを左右する大きなポイントです。
②歯の側面をわずかに削る(IPR)
大人の場合は顎の成長が終わっているため、拡大だけではスペースが足りないことがあります。そこで用いるのが、歯と歯の間のエナメル質を0.数mmだけ削ってスペースをつくる「IPR」という方法です。削る量はごくわずかで、健康な歯を抜くのと比べれば失うものは小さく済みます。他院で4本抜歯と言われた方を「1本抜歯+IPR」で改善した当院の症例もあります(後述)。
③下顎を前に出す(出っ歯の多くは「下顎の後退」)
「出っ歯」と聞くと上の前歯が出ていると考えがちですが、院長の見解では、出っ歯の多くは上の歯が前にあるのではなく、下顎が後ろに下がっていることが原因です。この場合、上の歯を抜いて後ろに引っ込めるよりも、下顎を本来の位置まで前に出す計画の方が、噛み合わせと横顔のバランスの両方で自然な結果を目指せます。当院では、骨盤・背骨・首のバランスから本来の顎の位置(シン中心位®)を確認したうえで治療計画を作成します。
④奥歯を後ろに動かす・0.01mm単位の治療計画
マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、奥歯を少しずつ後方へ動かしてスペースを稼ぐことも計画できます。当院では治療計画(クリンチェック)を0.01mm単位で作成し、抜かない案・1本抜く案・IPRを使う案を実際にシミュレーションして比べたうえで、抜歯の要否や本数を判断します。
年齢で変わる「抜歯しない矯正」の可能性
抜歯を避けられるかどうかを最も大きく左右するのが年齢です。顎の成長を利用できる時期と、成長が終わってからでは、使える方法が変わります。以下は院長の臨床経験にもとづく目安です。症例により異なります。
| 年齢の目安 | 顎の状態 | スペースのつくり方 | 抜歯を避けられる可能性 |
|---|---|---|---|
| 6〜10歳(理想は8〜9歳) | 上顎が成長中。正中口蓋縫合が開いている | 上顎の拡大が中心。永久歯が生えるスペースを先につくる | 高い(当院ではほぼ抜歯なし) |
| 小学校高学年〜中学生(女子〜14歳・男子〜15歳) | 上顎の成長が終盤。下顎が成長する時期 | 拡大+下顎の位置の調整。うまくいけば非抜歯を目指せる | やや高い(できるだけ早い診断が重要) |
| 高校生〜成人 | 顎の成長はほぼ終了 | IPR・奥歯の後方移動・下顎位置の調整を組み合わせる | 症例による(当院では成人でも抜歯は数%) |
6〜10歳が「分岐点」と言われる理由
前歯が生えそろう8〜9歳ごろは、上顎の継ぎ目がまだ閉じておらず、拡大の効果を最も得やすい時期です。この時期に上顎を広げておくと永久歯の居場所ができ、抜歯の必要性が下がると考えられます。反対咬合(受け口)の予防にもつながる可能性があり、院長は「乳歯が残っているうちに始めるイメージ」を勧めています。
中学生・高校生でも遅すぎるわけではない
「全部永久歯に生え変わってからでは遅いことが多い」とはいえ、小学校高学年や中学生で来院された場合でも、抜歯せずに済む可能性は残ります。院長の目安では、女子は14歳ごろ、男子は15歳ごろまでであれば、顎の拡大を組み込める場合があります。抜歯を勧められて迷っている段階なら、少しでも早く診断を受けることが、選択肢を広げるうえで重要です。
大人でも「抜かない案」を検討する価値はある
成人は拡大が難しくなるため、IPRや奥歯の後方移動を組み合わせます。すべての方が非抜歯にできるわけではありませんが、当院では成人でも抜歯に至るのは数%です。「大人だからもう無理」と決めつけず、シミュレーションで比べてみることをお勧めします。
他院で「抜歯」と言われ、抜かずに矯正した症例
当院の症例を3つご紹介します。いずれも同意を得て歯並びの写真のみ掲載しています。治療の経過や結果には個人差があり、同じ結果を保証するものではありません。
▶ 院長が兄弟の症例をもとに「子供の矯正で抜歯は必須なのか」「何歳までなら抜かずに済む可能性があるのか」を解説しています
症例①:他院で「4本抜歯」→当院では1本抜歯+IPR(10代後半の女性)
BEFORE
AFTER主訴:歯のガタガタ(叢生)。他院で「小臼歯4本の抜歯が必要」と診断されていました。
治療内容:マウスピース型矯正装置(インビザライン)による全体矯正。治療計画を複数案で比較し、抜歯は1本にとどめ、不足分は歯の側面をわずかに削るIPRで補いました。
期間:1年半〜3年(目安・個人差あり)。2021年に治療を開始し、完了しています。
費用:総額約100万円(当時)。自由診療(保険適用外)です。
リスク・副作用:装着初期の痛み・違和感、発音への一時的な影響、装着時間が不足した場合の治療計画の変更、治療後の保定期間が必要となる場合があります。
症例②:他院10件で「4本抜歯」→非抜歯・顎の拡大で治療中(10代の男の子)
BEFORE
治療中主訴:歯のガタガタと、永久歯が生えるスペースの不足。地元の歯科医院10件すべてで「4本抜歯が必要」と言われ、片道約3時間かけて当院に通院されています。
治療内容:マウスピース型矯正装置による上顎の拡大を中心とした非抜歯の計画。正中口蓋縫合が閉じる前の時期を利用し、歯列のアーチを広げて永久歯のスペースを確保しています。
期間:1年半〜3年(目安・個人差あり)。2023年に治療を開始し、現在治療中です。
費用:全体矯正85万円(税別)+管理料5,000円/来院ごと(現行料金)。自由診療です。
リスク・副作用:装着初期の痛み・違和感、発音への一時的な影響、装着時間が不足した場合の治療計画の変更、治療後の保定期間が必要となる場合があります。
症例③:下顎の後退による出っ歯を、上の歯を抜かずに治療中(小学生の女の子)
主訴:前歯が出ている(上顎前突)。診断の結果、上の歯が前に出ているのではなく、下顎が後ろに下がっていることが主な原因と判断しました。
治療内容:上の歯を抜いて引っ込めるのではなく、マウスピース型矯正装置で下顎を本来の位置まで前に出す計画です。
期間:1年半〜3年(目安・個人差あり)。2025年に治療を開始し、現在治療中です。
費用:全体矯正85万円(税別)+管理料5,000円/来院ごと(現行料金)。自由診療です。
リスク・副作用:装着初期の痛み・違和感、発音への一時的な影響、装着時間が不足した場合の治療計画の変更、治療後の保定期間が必要となる場合があります。
抜歯しない矯正のデメリット・注意点
「抜かない矯正が常に正解」ではありません。院長自身も、歯を抜かない矯正が「必ずしも良いことばかりではない」と明言しています。判断を誤らないために、デメリットと注意点も正直にお伝えします。
適応外のケースがある
顎の成長が完全に終わっていてスペースの不足量が大きい場合や、歯を支える骨の量が限られている場合は、非抜歯にこだわると歯ぐきが下がる・歯が骨から外れかけるといったリスクが高まります。こうしたケースでは、最小本数の抜歯を組み合わせる方が、長期的に安定した結果を目指せることがあります。非抜歯が適応になるかどうかは、症例により異なります。適応には診断が必要です。
口元が前に出すぎる(出っ歯になりすぎる)場合がある
抜かずに歯を並べると、歯列全体がわずかに前方へ広がるため、症例によっては口元が前に出た印象になることがあります。院長の臨床経験では「ほとんどの場合はそうならない」ものの、可能性はゼロではありません。当院では治療計画の段階で治療後の歯の動きと口元のバランスを動画で確認し、事前に検討したうえで方針を決めます。
期間・通院・後戻りは非抜歯でも同じ
非抜歯だから治療が早く終わる、というわけではありません。全体矯正の期間は1年半〜3年が目安で、通院は1〜3ヶ月に1回です。治療後は歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」を防ぐため、リテーナー(保定装置・70,000円税別)を使う保定期間が必要です。これらは抜歯の有無にかかわらず共通です。
自由診療であり、効果には個人差がある
マウスピース型矯正装置(インビザライン)による矯正は自由診療(保険適用外)です(医療費控除の対象になる場合があります)。治療の経過や結果には個人差があり、装着時間が不足すると治療計画の変更が必要になることがあります。
セカンドオピニオン相談の流れと費用
「他院で抜歯と言われたが、抜かずにできないか知りたい」というご相談は、当院で多いご相談の一つです。他院の診断資料をお持ちいただいても、手ぶらでお越しいただいても構いません。
ステップ1:LINE写真相談または無料カウンセリング
まずは公式LINEでお口の写真を送っていただくか、初回カウンセリング(無料)にお越しください。来院時は口腔内3Dスキャナー「iTero element」による簡易3Dスキャンも無料で行い、抜歯を避けられる可能性があるか、おおまかな見通しをお伝えします。
ステップ2:精密クリンチェック診断(1,650円・税込)
より正確な判断をご希望の方には、精密クリンチェック診断をご案内しています。院長が3〜4時間かけて治療計画を作成し、抜かない案・最小本数を抜く案などを比較したうえで、治療後の歯の動きを動画でご確認いただけます。一般的な矯正の精密検査は2〜3万円が相場(当社調べ)ですが、当院では毎月30名限定で1,650円(税込)としています。
▶ 治療計画(クリンチェック)の実際の画面。抜歯の有無を含め、歯がどう動くかを治療前に確認できます
ステップ3:治療開始(費用の目安)
| 項目 | 費用(税別) | 備考 |
|---|---|---|
| 初回カウンセリング・簡易3Dスキャン | 無料 | 他院の診断資料の持参も歓迎 |
| 精密クリンチェック診断 | 1,650円(税込) | 毎月30名限定。治療計画を動画で確認 |
| 全体矯正(かみピタ矯正®) | 850,000円 | 月々約12,000円〜(84回目安) |
| 部分矯正 | 460,000円 | 月々約5,000円〜(84回目安) |
| 管理料 | 5,000円/来院ごと | 通院は1〜3ヶ月に1回 |
| リテーナー(保定装置) | 70,000円 | 治療後の後戻り防止 |
お支払いは現金・クレジットカード・デンタルローン(3〜84回)に対応しています。親子割引(5万円)などの特典もございます。
よくあるご質問
抜歯しない矯正は、誰でもできますか?
他院で「4本抜歯」と言われました。セカンドオピニオンを受けても失礼になりませんか?
子供は何歳までなら抜かずに矯正できる可能性がありますか?
抜かずに矯正すると、出っ歯になりませんか?
抜歯しない矯正の費用と期間はどのくらいですか?
〒245-0014 神奈川県横浜市泉区中田南3-7-2(横浜市営地下鉄 中田駅 徒歩3分・駐車場3台)
診療時間 8:30〜13:00/15:00〜18:30(土曜は午前のみ)休診:火・日・祝
TEL 0120-016-487
※マウスピース型矯正装置(インビザライン)は自由診療(保険適用外)です。装着初期の痛み・違和感、発音への一時的な影響、装着時間が不足した場合の治療計画の変更、治療後の保定期間が必要となる場合があります。
※マウスピース型矯正装置(インビザライン)は完成物薬機法対象外の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
※症例写真はご本人の同意を得て掲載しています(歯並びのみ)。













