受け口

『受け口』『しゃくれ』と言う言葉を聞いたことがあるという人は、
結構いらっしゃるのではと思います。

専門的な言葉では、『反対咬合(はんたいこうごう)』と言います。

2~3歳くらいのお子さんのお母さんの中には、子どもが受け口に
なっているのが気になって、歯医者さんに相談をしたという方も
きっといらっしゃると思います。

歯医者さんは、「うちの子の顎がしゃくれているのですが、どうしたら
良いですか?」という相談に対して何と答えたか、当ててみましょうか?
「そうですね、お子さんはまだ小さいですから、しばらく様子をみましょう」
歯医者さんの回答は、十中八九こんな感じだったのではと思います。

「歯医者さんがそう言うのだから、様子を見ていれば治っちゃうもの
なのね」と思ったお母さん、または自分の近親に反対咬合の子がいると
いう大人の方々、そんなことはありません。
自然治癒する確率は、多分みなさんが思っているよりずっと低いのです。

これから、述べる数字は、歯科医学会で発表されたものです。

反対咬合が発生する確率は、4%。
そのうち、自然治癒した人は6.4%
自然治癒しなかった人は94%以上ということです。

ざっくりした数字を言うと、反対咬合の子どもが20人いたら、そのうちの
一人しか自然治癒しないということです。

様子を見続けているうちに、子どもは成長して大人になってしまいます。
自然治癒しなかった19人に該当した場合、反対咬合の治療は手術しか
ありません。
その手術は美容外科です。矯正歯科では治りません。
美容外科での手術はあごの骨を削ります。傷口はひどく腫れますし、非常に
痛い思いもします。その上美容外科手術では健康保険は使えませんから、
全額自己負担で、かかる費用も何百万円と高額です。

反対咬合の著名人として挙げられるのは、フィギュアスケートの
荒川静香さん。彼女の場合は、歯は矯正したので普通の人と変わらず、
上顎の歯のほうが前に出ています。でも、骨を削る手術はしていない
ので、下顎はしゃくれたままです。
歯は矯正で治すことが出来ます。けれども、顎の骨は削らない限り、
決して引っ込むことはありません。

反対咬合の治療の問題は、高額の費用や痛みを伴うことの他にもあります。
あごの骨というのは、上の顎から先に成長します。
上の顎が成長してから下の顎が成長するのが普通です。
ところが、反対咬合の場合は、下顎が上顎をロックしている状態で、
上顎は成長することなく、下顎だけ成長が進みます。
つまり、どんどん顎がしゃくれてしまうのです。

様子を見ているうちに子供は成長し、矯正の適応年齢を過ぎてしまいます。

となれば、子どものうちに反対咬合の矯正を始めることが、最善策といえる
のではないでしょうか?
顎の成長は、男子は17歳ぐらい、女子は14歳前後で止まります。
矯正は6年ほどの長い年月を要します。
逆算すると、遅くとも男子は11歳、女子は8歳までに矯正治療を始める
必要があります。
とは言え、それは最終の時期ですから、男女とも3歳児健診を過ぎた
ころから始めるのが理想的と考えます。

歯の矯正というと一度付けたらなかなか外せず、歯磨きにも苦労するという
イメージがあるかと思いますが、反対咬合の矯正は夜間のみ、つまり
寝ている間だけで、形もマウスピースみたいなものなので、装着も難しく
ありません。

このコラムを読んでくださった貴方のお子さんが反対咬合で、歯科医に
「様子を見ましょう」と言われているとしたら、20人中1人の自然治癒に
かけて、様子を見続けますか?
それとも、確実に治る矯正を選びますか?

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