行儀の良い食べ方は、顎の発達には良くない
赤ちゃんが生まれたとき、最初に口にするものは、お乳ですね。
母乳であれミルクであれ、赤ちゃんが(お母さんの)お乳を吸うことが、食べ物を口にする一番初めの行為です。
しばらくすると離乳食が始まります。
子育て経験のある方なら、離乳食に関するエピソードを幾つもお持ちなのではないでしょうか?
離乳食の量が少ないので焦がしそうになったとか、とても手間がかかったとか、作ったわりにあまり食べないとか、とてもよく食べた、好き嫌いがあった、兄弟でも食べ方に違いがあって戸惑ったなどなど。
離乳食からさらに進んだ段階でも、食べ散らかすから困った、子どもの口の周りもテーブルの周りも食べ物が飛び散っていたなんて経験のある方も多いことでしょう。
食べこぼしたり、口の周りにつけたりが出来るだけ少ないように、口の奥までスプーンを入れて食べさせていた方も、おそらくかなりの割合でいらっしゃるはず。
食べ散らかさない方が見た目もキレイですし、知らないうちに遙か彼方まで飛んでいたお粥を気づかずに踏んでしまい、なんだかスリッパがペッタペッタするなんてことも起こらない。
食べた量とこぼした量とどっちが多いんだろうと、ため息をつきながら掃除をするのは、一回経験したら二度とは嫌だと思うお母さんの気持もわからないではありません。
ですが、この「お行儀の良いこぼさない食べ方で食べさせること」は、「捕食」が出来ない原因になっており、歯並びの悪さにもつながっているのです。
「捕食」と聞くと、肉食動物が草食動物を捕らえて食すイメージが強いかもしれません。
ヒトの場合、直接獲物を捕ることは少ないですが、大昔の人間たちがしていたように食べ物を手でつかむことが、捕食のスタートです。
手でつかむと、食べ物は唇に触れます。
次に、前歯でかぶりつき、奥歯で咀嚼(奥歯で噛む)し、飲み込むわけです。
この一連の流れを「捕食」というわけですが、最近の小学生の6~7割は、「捕食の出来ていない子」であると言えます。
お行儀良く食べるために、スプーンで食べ物を口の奥まで入れていると、唇で食べ物に触れることが出来ません。
その次の「かぶりつく」という行動もなく、咀嚼だけをして食事が終わってしまいます。
手づかみでかぶりつけば、顎が発達し、乳歯は「すきっ歯」になります。
隙間があるから大きい永久歯が生えてくるスペースがあるのですが、乳歯の隙間が無かったら、永久歯の歯並びはかなり悪くなってしまうでしょう。
顎の発達は、体全体の成長にも影響を及ぼします。
捕食がきちんと出来ないとだんだん食べなくなる→顎も発達しない→捕食出来ない、この悪循環になってしまいます。
顎とは言え、毎回食べ散らかしの掃除をするなんて、大変ですよね。
そこで、スプーンを使うときは、唇のあたりまでにしてみてください。
食べ物が唇に触れた感覚を得るためです。
玄米を食べるのも、良いと思います。
昔は玄米食が多かったですよね、最近は炊きやすい玄米も商品化されています。
捕食とは関係なく思われるかもしれませんが、「ハイハイ」も重要です。
ハイハイをせずにいきなり「たっち」をする子どもも増えていますが、ハイハイは全身の筋肉の発達に、とても重要です。
手づかみ食べは、お行儀は良くないですが顎の発達のため体のためにはとても重要。
たまには親子で手づかみ食べをしてみては?
時期は過ぎてしまいましたが、トウモロコシやスイカなど、「ガブッ」といってもあまり怒る人はいないので、最適かと思います。