生え替わった永久歯が大きい子どもが多い理由とは?

「最近の子どもは、乳歯が抜けて永久歯が出てきたときに、大きい歯が生えてくるなあ」と感じている、お父さんお母さん或いはおじいちゃんおばあちゃんは、いらっしゃらないでしょうか?

これは錯覚ではなく、実際に最近の子どもたちの永久歯は、昔の子どもたちよりも大きいのです。

なぜ、歯が大きくなるのかと言うと理由は単純明快で、栄養価が高くなっているからです。

食べ物が欧米化して、身長がすらーっと高い子(特に女子)が増えてきたのはだいぶ前からのことですが、身長と同じように歯も食べ物の欧米化で栄養価が高くなったため、大きい永久歯が生えるようになったのです。

身長は、伸びたらそれに見合う服を用意すれば良いわけですが、歯に関しては同じようなわけにはいきません。

歯は顎の中に収まっているわけですが、顎の成長にとって大切なのは固いものを食べ、良く噛むこと。
前歯の領域に関して言うと食べ物を噛みちぎることも重要です。
例えば骨付きの肉をカプッととか、少しワイルドな感じですが、顎の成長には必要なのです。

ところが、今の子どもの食生活は、どうでしょう?

軟らかいものばかりを食べ、噛みちぎることも、奥歯での咀嚼もほとんどしない。
これでは顎は発達しません。
大きくなった歯を収めるスペースが、顎には無いという状況に陥ります。

狭い場所に大きな歯が整然と並ぶのはどうやっても無理。
となれば、歯並びはガタガタになるしかないわけです。

そういった状況なので、今の小学生は7割が、歯の矯正をする必要があると言われています。
ですが、実際に矯正をしている子どもは、そのうちの3割です。

アメリカでは矯正が必要な子どものうち、8割は矯正をするそうです。
見た目が出世にも影響するお国事情も絡んでいるのだと思いますが、私は矯正の必要性を見た目の点だけでいっているわけではありません。

矯正をすれば、もちろん歯並びは良くなります。

歯並びが良くなるということは、顎に必要なスペースができるということで、このスペースができると口呼吸をしていた子どもが鼻で呼吸をできるようになります。
アレルギーが治ることもありますし、鼻呼吸ができるようになれば鼻でのフィルター機能が働くので、体内に菌が入り込みにくくなって結果、風邪などを引きにくくなるという良い効果も得られます
(鼻呼吸については、先月のコラムでもとりあげています)。

「八重歯がかわいい」などという考えは、過去のものにしなければなりません。
私は、「歯並びを矯正することは大事なことだ」と啓蒙していく必要があると考えています。

小さいうちに必要な矯正をすれば、口呼吸から鼻呼吸に変わることで風邪などを引きにくい体になる。
口呼吸は眠りが浅いため、心の問題を起こしやすいとも言われていますが、それを改善することにもつながるでしょう。
見た目だけでなく、その子の将来、人生にも大きく関わるといっても、過言ではないと思うのです。

また、受け口の子は精神疾病にかかる率が、そうでない子どもよりもかなり高いとも言われています。
私の推測ですが、下顎が前に出ていることを気にしていたら、うつむき加減になったり、人前で話すのをためらったりするだろうな、そうであれば前向きな性格にはなりにくいかもしれないなと、こんなふうに思うのです。

いずれにしても、歯並びひとつが、いろいろなところに影響を及ぼします。

「たかが歯並び」ととるか、「されど歯並び!うちの子の歯、やっぱり矯正しよう」と思うか。

お子さんの将来や健康のことを考えて、広い視野と深い意味でで歯の矯正をとらえてくださる保護者の方々が増えると良いなぁ、そのために歯科医の立場で何ができるか、考える日々です。

当院ではiTeroを導入しましたので、型取りが苦手な方にも矯正治療が受けやすくなりました。
今は永久歯がすべて生えそろっている方のみですが、将来的にはお子様もご利用いただけるようになる予定です。

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