歯周病菌について
歯周病菌が敗血症を引き起こす可能性
以前、このコラムで歯周病菌は、脳梗塞、糖尿病、心臓疾患、うつ病や
アレルギーなど、全身の病気と関連しているという事をお伝えしました。
そして、歯周病菌について更に新しいことがわかったので、それを皆様にお伝えしたいと思います。
大学が発表したデータによるもので、歯周病菌がいかにあなどれないものなのかがよくわかります。
歯周病の菌がいる人が、歯科で歯石を取る歯を削るなどの処置をした際に、処置をしただけで歯周病菌が全身に回ります。
そして歯周病菌は、敗血症を引き起こすことがあるのです。
敗血症とは
敗血症とは、どんな病気か簡単に説明しますと…。
体内で炎症を引き起こしている部位から、炎症の原因となる病原体が血液中に流れ込むことで引き起こされる、重篤な全身症状のことで、発熱、心拍数の増加、低血圧、意識障害、ショック(敗血症性ショック)などが起こります。
症状が重い場合は発熱でなく、低体温となることもあります。
臓器に障害が及ぶと多臓器障害症候群を併発することもあります。
ただちに、処置を行わなければ死に至るリスクの高く、抵抗力や体力の弱い人がかかりやすいため、治療成績は良いとはいえません。
口腔内の傷口から入った菌が全身を回るのにかかる時間はわずか20~30秒ほどです。
歯科治療前に除菌でリスク回避を
そして、日本人の成人のうち、歯周病菌を持っているのは8割くらいと
言われていますので、歯石を取って出血した人のうちの8割が歯周病菌を
全身に巡らせていると言っても、過言ではないでしょう。
勿論、その8割の人全員が敗血症を発症するわけではありません。
前述のとおり、抵抗力や体力の弱い人がかかりやすいので、若くて
免疫力のある人が敗血症にかかることは滅多にありません。
歯周病菌がたくさんいる状態で安易に歯石を取ることは、
命を危険にさらすことです。
歯科治療イコール命を守る、ということを肝に銘じてほしいと切に思います。
妊娠中の歯石除去は更に危険です。ホルモンバランスが変わって歯肉炎になりやすい
上に、低体重出産の要因にもなり得ます。
出血を伴う可能性のある歯科的処置をするのなら、その前に除菌をすることが何よりも大切です。
歯の除菌方法
では、どうやって除菌をしたらよいのでしょうか?
重要かつ、今までコラムをお読みくださった皆さんの最大の関心事だと思います。
歯を磨けば除菌できるのでしょうか?
残念ながら、歯磨きでは除菌出来ません。
口の体操をする
緑茶に含まれるカテキンの抗菌作用での除菌
今現在、テレビなどで紹介されているのはこのような方法ですが、
カテキンの効果も、10万個の歯周病菌を5万個に減らす、つまり半減させ
るのがやっとというレベルです。
半分…、それでいいのだろうかと思う方も多いでしょう。
命を危険にさらすリスクを減らしたいのなら、除菌を提唱しているクリニックを
選びましょう。
当院でも除菌をしてからの歯科治療を行なっていますが、ただし、
歯周病菌はゼロにはなりません。
でも、百分の一、千分の一に減らすことはできます。
つまり、10万個の歯周病菌を1000個か100個に減らしてから、治療や歯科的処置を
行なっているわけです。
早急に歯石を取ってとりあえずきれいになる(敗血症のリスクがあります)
ことを選ぶのか、より命を危険にさらす可能性の少ない除菌後の歯石除去を
選択するのか、貴方ならどちらを選びますか?