食べた後にすぐに歯磨きをしてはいけないのは本当?
食べた後にすぐに歯磨きをしてはいけない理由
最近テレビで良く目にする「食べた後にすぐに歯磨きをしてはいけない」という情報。
その考え方が浸透していて、食後すぐに歯を磨かない方が増えています。
間違った情報ではないのですが、一部間違った認識を持った方がいらっしゃるので説明したいと思います。
まず、ステファンのカーブ(虫歯になりやすい曲線のことで歯科医師がよく学ぶグラフのことです)についてお話します。
ステファンのカーブとはプラーク(歯垢)中のpH(ペーハー)の変化を表したものいいます。
通常は中性に保たれていますが、食事をとると酸性に変わります。
例えば甘い物を摂取した際、お口の中のpHは酸性になり、脱灰(だっかい)が始まります。
脱灰とは歯のエナメル質が壊れ、溶けることを言います。
しかし、唾液の自浄作用によって酸性になった口の中のpHを中性に戻し歯を再石灰化します。
赤ちゃんにむし歯が無いのはよだれがたくさん出ているからです。
一般的な人の平均では15分から20分ほどで中性に戻ると言われています。
食後すぐに歯磨きをしてしまうことで、脱灰した状態の柔らかい歯を削ってしまったり、唾液の力が働かなくなってしまいますので
食後20分後くらいに歯磨きをするといいでしょう。
だらだら食べはよくない
この情報はTVでもよく言われていますし、正しい知識だから問題ありません。
だらだら食べは一番よくありません。
食後に唾液がpHを戻そうとするタイミングでまた食べ始めてしまうと、お口の中は酸性の状態が続いてしまいます。
食べるときは一度で食べることが大切です。
料理人の人はいつも味見をしているので、歯が悪い人が多いと言われています。
当医院でも料理人の患者さんは歯が悪い人が多いです。
ケーキ職人さんのお口の中はむし歯だらけでした。
職業柄なので大変ですよね。
歯周病の人はすぐに歯磨きを!
ここまでのお話はむし歯に関しての効果的なお話です。
歯周病に関しては話が別になります。
虫歯は歯を溶かす細菌ですが、歯周病は歯の周りを溶かす細菌なので、重症になると歯が抜けてしまいます。
歯周病の菌は留まり続けて、常に毒素を出しているので、細菌を除去するには、食後すぐに歯を磨く必要があります。
歯周病と診断された方は、食後時間を空けずにすぐに歯を磨くようにしましょう。
当医院では顕微鏡で検査して歯周病菌を減らす治療をしていますので、同時にしていただくとより効果的です。
この間、来院した歯周病の患者さんはTVを見て食後20分置いて歯磨きをしているというお話をしていました。
しかし、この状態を続けてむし歯を防いで歯が残ったとしても歯周病で抜けてしまいますよね。
虫歯に重点を置く(子供の場合はこの場合が多い)のか、歯周病に重点を置くのかによって考え方が違います。
20分後に磨くからと言って、忘れてしまうと意味がありません。
とても大事な事なので皆さん誤解のないようにしてください。