本の紹介:『ぼく生きたかったよ』

『かわいそうなぞう』のお話をご存知の方も多いことでしょう。
小学校の国語の教科書にも出ていましたね。

第二次世界大戦中に殺されてしまった、上野動物園の三頭の象と、
大事に育てていた象を殺さざるをえなかった飼育員の実話です。

あの戦争のとき、動物園で殺されたのは、上野動物園の象だけでは
ありませんでした。
ライオン、トラ、ヒョウ、クマなど、猛獣といわれる動物たちが、
「猛獣をすぐに殺すように」という国の命令のもと、
日本中の動物園で数多くの動物たちが殺されていったのです。
しかも、その動物たちを可愛がって育てていた飼育員たちの手によって、
です。
そして、殺された動物たちの記録は、殆ど残されていないのが現実です。

家でペットを飼っている人、また学校や幼稚園保育園で飼育している
動物が大好きな人は、その動物のことを思ってみてください。
国の命令で、ある日突然、それも早急に
その動物を殺さなければならないとしたら・・・?

この本は、第二次世界大戦中の日本で、国の命令によって殺された
クマの親子の物語です。

動物園に昨日と変わらない動物たちがいる日がずっと続くこと、
それは、平和であること、戦争のない日々が続いていることの
証しでもあります。

二度と戦争をしないため、私たちができることは何でしょうか?

昨年2015年の7月、安全保障関連法案の法案の可決について
国会周辺で大規模なデモが続いていたことを覚えていらっしゃるでしょうか?

第二次世界大戦を経験した瀬戸内寂聴さんや野坂昭如さんは、
「今の日本は太平洋戦争(第二次世界大戦のこと)の頃と
同じような空気が流れている」と、これからの日本の行く先を
非常に危惧していました。
戦争前の空気感を知っているのは、その時代を生きた人だけです。

一方で、「自分のこどもを危険から守るために、安全保障関連法案の可決が必要だ」と、
ベビーカーを押しながら声をあげたお母さんたちもいました。

何が平和を守ることに繋がるのか、人任せにすることなく、
よく考えなければと思います。

動物園の動物たちの命も、私たち人間の命も、戦争による国の命令で
奪われることがあってはならないからです。

ぼく生きたかったよ』作・絵は、かりん舎から出版されています。

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出典:かりん舎

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