予防歯科とは
予防歯科とは
虫歯や歯周病、歯列不正の成り立ちに関する情報をお伝えしながら、正しい歯磨きの指導に始まり、シーラント(歯の溝を塞ぐ)、フッ素の塗布・洗口などの虫歯予防を中心とした歯科治療です。
予防歯科とは、虫歯や歯周病が発生しないように、予め防止するための行動をとることを意味します。
そんな予防歯科には、プロフェッショナルケアとセルフケアの2種類が存在します。
プロフェッショナルケアとは、歯科医師や歯科衛生士といった歯の専門家によって施されるケアで、歯のクリーニングやブラッシング指導等が含まれます。
一方、セルフケアとは文字通り自分自身で行うケアのことで、プロフェショナルケアで指導してもらったことを、自宅で実践していくことを意味します。
この双方が実行されることで初めて、虫歯や歯周病の予防が行えると言えるのです。
では次に、それぞれのケアについて、具体的に説明していきましょう。
予防歯科について
今まで歯科医院は、歯が痛くなってから行くものでした。しかし虫歯になってから歯を失ってからでは手遅れです。また歯周病で溶けた顎の骨は元には戻りません。そのため最近では歯が悪くならないように予防していく事が重要になってきました。治療する前に予防することがこれからの歯科医院のスタンダードとなってきます。世界で一番予防が進んでいるスウェーデンでは歯科の定期検診受診率が大人で80%以上あり、子供にいたっては100%近くが定期検診を受けています。他の 先進諸国でも70%ほどの受診率が一般的になってきました。先進国ではこのように歯科に対する関心が高いのに対し、日本では驚くことに、10%以下の定期 検診受診率です。これでは虫歯や、歯周病が悪化してしまうのも当然といえます。
お口の中には400種類を超える細菌が存在します。その中にむし歯の原因となる細菌がいるのです。これは毎日の食生活の中で増殖していくので、定期的なクリーニングが必要となります。しかし、残念ながら毎日の歯磨きではその全てを除去することは不可能です。そこで!本格的な治療と共に、お口の中のむし歯の原因菌を撲滅する「フィンランド式むし歯除菌治療」を行っております。
プロフェショナルケア
歯の形や大きさ、それから歯列や歯肉の状態といったものは、個々人で大きく異なります。
つまり、歯磨きの仕方も一人一人で異なると言えるのです。
プロフェショナルケアでは、まず、そうした口腔内の状態を綿密に調べてくれます。
口腔内に常在している細菌数なども調べてくれるため、自分がどれくらい虫歯や歯周病になりやすいかも知ることができます。
その上で必要となってくるのが、専門家によるブラッシング指導です。
ブラッシング方法には、沢山の種類が存在し、それぞれに合った方法を提示してくれるかと思います。
その他、歯質を強化してくれるフッ素塗布や、歯面に付着した歯石を除去するスケーリング、それから専用の機器を用いて歯垢を落とすPMTCなどを施してくれます。
これらは歯科クリニックでしか行えないものばかりです。
セルフケア
セルフケアでは、歯科医や歯科衛生士に指導してもらったことを自宅で実践していきます。
正しいブラッシングを適切な回数、適切な時間行っていきます。
必要であれば、デンタルフロスや歯間ブラシなども活用して、口腔内をプラークフリーな状態に保ちます。
その他、フッ素配合ハミガキ粉やデンタルリンスも合わせて使用することで、セルフケアの効果は高まっていきます。
プロフェショナルケアとセルフケアの両方に共通しているのは、次の3つのポイントです。
- フッ素で歯質を強化する
- 歯垢や歯石を除去する
- 細菌の増殖を抑える
この3点に気を付けてオーラルケアを行っていくことが、予防歯科の本質と言えます。
メインテナンスについて
医学における治療というのは、異常がある部分を治すことで完了します。
同様に、虫歯治療も虫歯になっている歯を削って、歯科材料を詰めることで完了します。
けれども、予防歯科という分野では、プロフェッショナルケアという治療が終わってからが本番と言えます。
歯科には、リコールやメインテナンスといった用語が存在します。
前者は治療が完了したのちに、再び治療箇所に異常をきたしていないかを検査するものです。
一方、後者は健康になった口腔内の環境をより良いものにするために、行われる処置ということができます。
予防歯科では、このメインテナンスが重要であり、健康な歯や歯周組織を保つには、日々努力し続けることが大切なのです。
虫歯が減少している理由
日本人の虫歯は、数十年前と比べると大幅に減少しています。
これにはいくつかの理由があります。
まず、予防歯科の概念が普及したため、小さいころから歯磨きをきちんとするようになってきました。
また、オーラルケア商品を販売する企業の側にも意識の変化が起こっており、今現在販売されている歯磨き粉のほとんどにフッ素が配合されているのです。
フッ素の役割を考えると、この点は非常に重要であると言えます。
歯の表層は、口腔内のフッ素を利用して、絶えず修復を繰り返しています。
ですから多少、歯の表面が欠けたり、浸食されてしまっても、フッ素を利用することで、ある程度は修復することが可能なのです。
その他には、歯医者の治療方針が大きく変わったことが関係しています。
以前は、虫歯が見つかったり、虫歯になりそうな部分があると、すぐに削って詰め物などをしていました。
歯は一度削られると組織全体が弱くなり、さらなる虫歯を引き起こす原因ともなります。
最近では、初期う蝕と呼ばれる虫歯であれば経過観察を行って、できるだけ歯を削らないようになってきているのです。
こうした流れもあって、日本人の虫歯は減少傾向にあります。
正しい歯の磨き方
虫歯を予防するためには、適切な方法で歯を磨く必要があります。
この適切な磨き方というのは、意外に知られていなかったり、歯科クリニックで教えられても実践できていなかったりするものです。
しかしながら、虫歯や歯周病を予防するのに最も大切なのは、日々のブラッシングですので、できれば実践していきましょう。
正しい磨き方のポイントとなるのは、歯ブラシの持ち方です。
歯や歯周組織に過度な力が加わらないように、ペングリップという方法で磨くのが最も一般的です。
これは、文字通り鉛筆を握る時と同じように歯ブラシを持つ方法です。
一方、パームグリップという、手のひら全体を使って歯ブラシを握る方法もあるのですが、こちらは強い力がかかってしまうため、特定のケースでのみ使用します。
幼児や小児はこのパームグリップで歯ブラシを持ってしまうことが多いので、出来るだけ早い段階でペングリップに矯正してあげましょう。
なぜペングリップが望ましいかというと、力がかかり過ぎる磨き方だと、歯自体はもちろんのこと、その周りにある歯肉などにも傷をつけてしまうからです。
1日3回の歯磨きだったとしても、長年磨き続けていれば歯は摩耗します。
また、1日1回は10分程度の長い歯磨きを行って、口の中のプラークを完全に除去しましょう。
歯の定期健診を受ける
虫歯予防を継続していくためには、やはり専門家の力を借りなければなりません。
そこでお勧めなのが、歯の定期健診を受けるということです。
自分なりに正しいと思っている口腔ケアも、専門家の眼から見たら、間違いが見つかるかもしれません。
そして何より、歯の状態というのは、絶えず変化してるため、定期的に口腔内全体の状況をかかりつけ医に診てもらうことは、非常に有益であると言えるのです。
例えば、虫歯の発生や歯周病の発症なども早めに発見することができるというメリットもあります。
ちなみに、歯の定期診断自体は、3か月に1回程度行うのが理想です。
ただし、それほど頻繁には時間を取れない人は、半年に1回程度が目安になるかと思います。